縁がわでビール

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営業に向いていない自分が、売り込まないで営業を続ける方法を考えた

【やってみると営業にもいろいろある】

学校を卒業してから今年で14年になるが、ずっと営業の仕事をしている。別に営業の仕事がしたかったわけじゃない。営業は向いていないなと自分で思う。でもやってきた仕事がそれしかないことがあって、業種が変わりながらも結果的に同じ職種の仕事を続けている。

もともと本を読むことが好きだったので、何となく書く仕事がしたいと思っていたのだが、大学4年時に120単位も残っていて就職活動なんてできるわけがない。卒業してから記事を書いたりする仕事に就くなんて無理だ。結局何の取柄もない世間知らずの人間を拾ってくれそうなところはニッチな業界誌。適当な提灯持ちの記事をかいては広告をお願いしにいく仕事。結局は広告営業である。仕事は4年続けたが、自分たちが食べるだけに存在しているような気がしてやるせなくて辞めた。

次の仕事は建材関係のメーカーのルート営業。決められたルートで空気を読みながらお客さんと関係性をつくって受注していく仕事だったのだが、これがまったく自分には不向きだった。学校のクラスみたいで箱の中で空気を読んで適当な会話を転がすということが苦手だったし、何せ数字に弱いこともあって自分に務まる仕事ではなかった。結局は最後はノイローゼのようになって辞めた。

 

次の仕事がいまの補聴器の営業である。高齢化社会における社会的な意義もあるし、第一人に喜んでもらえる仕事だった。自分は仕事を通して必要とされることを求めていたし、BtoCの営業の方が自分には向いているようだった。ただどうにも人に売り込むというのが苦手で2年くらいはまったく売れない。見かねた上司が付きっ切りで指導してくれて仕事に必要な技術もコミュニケーションの仕方も身に着けることができたが、それでもどうにも売り込みが苦手な性分は変わらず、鳴かず飛ばずの状態が続いた。

しかし仕事を続けていくには毎月継続して売り続ける必要がある。それが営業の存在意義だ。売上がないと居心地も悪くなるのだ。

 

【売り込まなくてもいい営業とは何かを考える】

そこで売り込まなくても継続して売上を上げる方法を考えた。

補聴器の平均した寿命は5-6年だ。アフターを継続していけば買い替えにつながるし、満足して使ってくれて人間関係もできてくればそこからの紹介につながる。

まずやってみたのは担当エリアで購入してくれているお客様のリストアップである。最後の接触から半年を空けないように最終訪問日を記録していった。3か月から半年に一度は必ず定期的にアフター訪問をすることにした。

その際には「売り込みにいかないこと」がまず大前提。必要なときにお願いできる中距離の関係を構築することに全力を尽くす。きちんと使えるようにメンテナンスをすること。点検掃除、調整をする。使えていないのであればなぜ使えていないのかを確認する。しばらく聴力を測っていない場合には再測定して合わせなおす。困ったことがあるときには「必ず」連絡をほしいと伝えた。その時によってすぐに来れないときもあるけれど、必ず来るからと伝えた。それを繰り返した。

 

 【アクションがあるとエフェクトがある】

継続して半年程度で変化が出てきた。こちらから売り込みにいかなくても訪問依頼が増えた。紹介の案件も増えてきた。自分としてもリスト化して定期的に管理することで、何となくしかわかっていなかったひとりひとりの顔とその生活がみえてきた。補聴器は生活を楽にするためのツールでありQOLを上げるための道具でしかない。生活がみえていなければよい道具を提案することはできないのだ。

 

 【見える化することでわかること】

アフターを見える化してわかったのは会う回数と購入してくれる確率は比例して上がっていくという事実だ。短期間でも長期間でもBtoCの関係性であれば会う回数に応じて購買率は上がっていく。短期間に何度も呼ばれることが多ければ、道具に問題が出ているということを表す。そこではじめて問題を改善するための方法として買い替えが提案できる。必要が生まれたら必要な情報を提供する。

 

 【突き刺して広げる】

為末大さんが何かをはじめるときに物事を広める方法はふたつあるとラジオで話していた。「広く薄く広げる方法」と「狭く突き刺して広げる」方法。自分の仕事について言えば絶対に後者だ。営業は問題を解決する存在であるということを忘れてはいけないと思う。為末大さんの本は示唆に満ちていてすごい。

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自分はこの本の帯にもなっている「選ばれようとしていないか。選ばれる為に自分を捨てていないか」という言葉が大好きで手帳に書いて時折見返している。

人間は気をつけていないと選ばれようとしてしまう。空気を読むというのと自分を曲げるというのはちょっと違う、と小藪さんの言葉にもあった。

自分であり続けるために何をするかだよなということを最近よく考える。